1 不同意性交等罪とは

不同意性交等罪というのは、かつては強姦罪、準強姦罪、あるいは、強制性交等罪、準強制性交等罪と呼ばれてきた犯罪です。

この犯罪は、以下のとおり、大きく3つの犯行態様に分類されます。

(1)被害者が拒否しているのに、あるいは拒否できない状況に乗じて性交等をする行為
(2)被害者にわいせつな行為ではないと誤信させたり、性交等をする相手を誤信させたりして、性交等をする行為
(3)13歳未満の者との間で性交等をする行為(ただし、性交等をする相手が13歳以上16歳以下の場合には、その者と5歳以上年長の者が性交等をする行為も含む)

なお、ここでいう性交等というのは、性交、肛門性交、口腔性交、膣や肛門に陰茎以外の身体の一部や物を挿入する行為でわいせつなものをした場合を指します。
また、法改正により、不同意性交等罪は配偶者間でも成立することが明確化されました。

2 不同意性交等罪に当たる行為の具体例

まず、上記(1)に分類される行為は、暴行や脅迫を用いて相手を畏怖させて性交等をする行為や、被害者にアルコールや薬物を摂取させるとか、被害者が睡眠その他の意識が明瞭でない状態下で性交等を行うといったものが典型例として挙げられます。
これは、強姦罪などによりこれまでも明確に処罰の対象とされてきた行為であり、不同意性交等罪と言われて、一般にイメージする行為かと思われます。
また、会社の上司である地位を利用して、被害者に不利益を与えることを憂慮させて性交等に及ぶ行為もこれに含まれます。
つまり、上記(1)に分類される行為は、被害者を委縮させたり、正常な判断ができない状況に陥らせたり、逆らうことができない状況下で性交等をする行為を処罰するものになります。

これに対し、上記(2)に分類される行為は、例として、医療行為や宗教行為と偽って性交等を行うことや、目隠しするなどして性交等を行う相手を誤解させる行為といったものが挙げられます。
つまり、被害者が性交等をしている認識がなく、あるいは被害者を誤解させて性交等をする行為を処罰するものとなります。

これら上記(1)と(2)で処罰の対象とされる行為は、これまでも処罰の対象とされてきたものであって、今回の法改正により明確に規定されました。

他方で、上記(3)に分類される行為は、これまでは13歳未満を相手とする場合のみを処罰していましたが、今回の法改正により処罰される範囲がより広くなりました。
つまり、性交等をする相手が13歳以上であったとしても、それが同世代間でのものではないのであれば、性交等をすることに相手の同意があったとしても、処罰の対象になりました。

3 不同意性交等事件の刑事手続の流れ

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の拘禁刑(懲役刑)と定められており、非常に重い犯罪です。
そのため、前科・前歴のない初犯の場合であっても、逮捕・勾留されるのが原則です。
また、勾留後も当然のように勾留延長され、起訴された場合にはほとんど保釈が認められません。
つまり、逮捕された場合には勾留が長期化し、裁判を経たあと、そのまま刑務所に収監される可能性が高い犯罪類型です。

4 不同意性交等事件の刑事弁護のポイント

したがって、不同意性交等罪によって逮捕・勾留された場合には、まずは起訴猶予を獲得することを目標とします。
そのためには、被害者との間で早期の示談を成立させることが必要不可欠です。
その際、示談にあたっては、示談書の記載に、被害者が「刑事処分を望まない」といった文言が含まれている場合には、起訴猶予となる可能性が高くなります。
また、仮に起訴されて裁判となった場合であっても、示談が成立していれば、保釈請求が認められる可能性や執行猶予判決を獲得できる可能性が高くなります。

もっとも、被害者は加害者やその家族と会ってくれないことが多く、当たり前と言えば当たり前ですが、性犯罪の被害者の場合にはその傾向が特に顕著です。
それ以前に、そもそも加害者が被害者の連絡先を知らない場合もあるでしょう。
したがって、被害者と示談をするには、弁護士が間に入らなければほぼ不可能です。
弁護士であれば、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらって接触を図ることが可能となります。

他方で、まだ逮捕・勾留されていないのであれば、その前に被害者と接触して、刑事事件化しないようにすべく、被害者との間で示談を成立させなければなりません。

もちろん、不同意性交等罪をしていない、つまり、無罪を主張する場合には、不起訴あるいは無罪判決の獲得を目指すことになります。
その場合には、捜査段階から今後の捜査機関の処理や裁判の見通しを見越して、不利な調書にサインをしないようにしたり、黙秘権を行使したりするといった入念な対応が必要となってきます。

5 弁護士にご相談ください

このように、不同意性交等罪は重い犯罪類型であるため、迅速に対応しなくてはなりません。
これは、不同意性交等罪の成立を争うか争わないかを問いません。
弁護士が介入した時点で、すでに不利な自白が取られていることや、事件から時間が経ちすぎて、被害者が示談に応じる意向を全く示さなくなるということも大いにあり得ます。

このようなことから、一刻も早く弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
不同意性交等罪の刑事弁護についてお困りの方がいらっしゃいましたら、お早めに当事務所にご相談ください。

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