1 事案の概要
依頼者は、被害女性の同意を得ることなく胸を触ったため、不同意わいせつ罪の容疑で、逮捕・勾留されていました。
依頼者は、これまで同種の前科や前歴(逮捕歴)がない方でした。
2 当事務所の活動
(1)不起訴処分獲得に向けて
はじめての逮捕・勾留ということで、依頼者も、依頼者のご家族も、今後どうなってしまうのかと、非常に不安を覚えていらっしゃいました。
そのため、当事務所の弁護士から、今後の刑事手続の流れを、丁寧にご説明いたしました。
そのうえで、被害者に謝罪し、相当額の損害賠償をすることで、不起訴処分を獲得し、前科をつけることなく社会復帰をすることを当面の目標にして、弁護活動をご依頼いただきました。
(2)示談交渉
依頼者は被害者の連絡先を知らなかったため、当事務所の弁護士は担当検察官に連絡し、被害者代理人の連絡先を教えてもらいました。
示談交渉の中では、当事務所の弁護士は、依頼者が不同意わいせつ行為を行ったことを認め、謝罪し、相当額の示談金をお支払いする旨、お伝えしました。
しかし、被害者代理人からは、今回のほかにも余罪がある、という主張がなされ、高額の慰謝料を支払うよう要求がありました。
依頼者としては、余罪とされる事実はなく、また、犯罪として成立しないものもあると考えており、相手方の提示額で合意することは難しいとのお考えでした。
このように前提事実に大きな争いがあったため、結果として、示談は不成立に終わりました。
(3)弁済供託
示談が不成立に終わったため、当事務所の弁護士は、弁済供託を検討しました。
弁済供託とは、法務局に損害賠償相当額の金銭を寄託することです。
これによって、支払いを行ったのと同様の効果が生じ、供託額の限度で被害弁償債務が消滅することになります。
当事務所の弁護士は、依頼者と相談し、今回逮捕・勾留された事実については争いがないことから、示談金相当額につき、取戻請求権を放棄したうえで、弁済供託をすることにしました。
そして、法務局の担当者とも事前協議のうえ、供託書を作成し、実際に供託を行いました。
3 当事務所が関与した結果
当事務所の弁護士は、示談の経過や弁済供託をしたことなどを、逐一、担当検察官に対し、意見書・報告書の形で、連絡しました。
その結果、依頼者は、勾留満期に処分保留で釈放され、その後、不起訴処分が告知されました。
4 解決のポイント(所感)
不同意わいせつ罪のような被害者が存在する犯罪においては、示談により被害回復を図ることが不起訴処分を得るにあたり重要です。
しかしながら、被害者が示談に応じてくれなかったり、法外な慰謝料を請求したりする場合も少なくありません。
そのような場合には、今回のような弁済供託や贖罪寄付といった制度を活用することが考えられます。
今回、示談は成立しなかったものの、適時に供託手続に移ったことで、最終的には目標としていた不起訴処分を獲得することができました。
このように、一の矢がうまくいかない場合でも、二の矢三の矢と諦めずに弁護活動を行うことが大切です。
5 お客様の声
力になっていただきありがとうございます。
親身な対応で心のささえでした。
本当にありがとうございます。
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