起訴(公判の請求)がされてからの手続の流れは、以下のとおり冒頭手続 → 証拠調べ手続 → 弁論手続 → 判決の順に進んでいきます(複雑な事件の場合には、公判前整理手続、期日間調整手続という争点整理のための手続が行われることもあります)。

なお、起訴前から勾留されている場合には、起訴後も勾留が続きます。
もっとも、保釈が認められれば、身柄が解放されます。
また、起訴前に勾留されていなければ、起訴後も身柄を拘束されないことがほとんどです。

1.冒頭手続

起訴されてから1~2か月程度で、初回の裁判期日が開かれます。

裁判期日では、まず、被告人(起訴された人)の本人確認、罪状認否(起訴された内容に間違いがないかどうかの確認)など、冒頭手続が行われます。
冒頭手続は、通常は5分程度で終わります。

2.証拠調べ手続

冒頭手続が終わると、証拠調べ手続が行われます。

まず、検察官が、犯行に至る経緯、犯行状況などを裏付ける証拠を提出します。

これに対し、弁護人(弁護士)は、被告人が無罪を主張している場合には、検察官の提出証拠を争ったり、無罪であることを裏付ける証拠を提出したりします。

被告人が罪を認めている場合には、弁護人は、刑を軽くするための弁護活動を行います。
例えば、被害者と示談をして示談書を提出したり、家族等に被告人を今後監督していくことを証言してもらったりすることが考えられます。

3.弁論手続

証拠調べ手続の後には、弁論手続が行われます。

まず、検察官が、証拠調べ手続の結果を踏まえ、被告人が有罪であることおよびその理由を主張し、どのくらいの刑を求めるかの意見を述べます。

これに対し、弁護人は、被告人が無罪を主張している場合には、証拠調べ手続の結果を踏まえ、被告人が無罪であることおよびその理由を主張します。
被告人が罪を認めている場合には、弁護人は、証拠調べ手続の結果を踏まえ、刑を軽くするべきであること、あるいは執行猶予が相応しいという意見を述べます。

そして、裁判官は、最後に、被告人にも意見を述べさせます。
被告人は、無罪を主張している場合には「やっていません」、罪を認めている場合には「申し訳ありませんでした」など、短く意見を述べるのが通例です。

被告人が罪を認めており複雑な事件でなければ、通常は初回の裁判期日で冒頭手続から弁論手続まで、すべて終わらせてしまいます。
そうでなければ、次回の裁判期日が指定され、続行となります。
裁判期日から次回の裁判期日までの期間は、1か月程度であることが多いです。

4.判決

弁論手続が終了すると、1~2週間程度で判決が下されます。
複雑な事件の場合には、判決までにもう少し時間がかかります。

被告人が罪を認めており複雑な事件でなければ、起訴されてから判決が下されるまで、2~3か月程度です。

なお、初回の裁判期日のうちに冒頭手続から判決まですべて終わらせる即決裁判という手続もあります。
即決裁判は、事実関係が明白・軽微であり、証拠調べが速やかに終わると見込まれるなどの事情を考慮し、検察官が相当と考えるときに、被疑者が即決裁判に同意した場合に選択されます。
即決裁判の場合には、懲役・禁固は必ず執行猶予付きとなります。