1.量刑とは

量刑とは、法律が定める刑の範囲内で、刑の種類や重さを決めることです。

例えば、刑法204条では、傷害罪について、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。
裁判所が傷害罪で有罪判決を下す場合、次のことを決めなければなりません。

・懲役にするか?罰金にするか?
・懲役であれば懲役何年にするか?
・実刑にするか?執行猶予にするか?執行猶予であれば執行猶予何年にするか?
・罰金であれば罰金何万円にするか?

これを決めるのが量刑ですが、量刑では犯行の動機、犯行の態様、被害の程度、自白・反省、被害弁償・被害感情など、様々な要素が考慮されます。

2.量刑において考慮される要素

量刑に影響する事情には、様々なものがあります。
以下では、典型的なものを紹介いたします。

(1)犯行の動機

生活苦からの犯行であること、被害者の挑発に対して行われた犯行であることなどは、量刑が軽くなる事情となります。
犯行の動機が反社会的であること、私利私欲による犯行であることなどは、量刑が重くなる事情となります。

(2)犯行の態様

犯行の態様が稚拙であり計画的ではないことは量刑が軽くなる事情となり、犯行の態様が悪質であり計画的であることなどは量刑が重くなる事情となります。

(3)被害の程度

被害が小さいことは量刑が軽くなる事情となり、被害が大きいことは量刑が重くなる事情となります。

(4)自白・反省

罪を認めて反省の態度を示していることは量刑が軽くなる事情となり、罪を認めずに反省していないことは量刑が重くなる事情となります。

(5)被害弁償・被害感情

被害弁償が行われたこと、被害者が許したことは、量刑が軽くなる事情となります。
被害者の被害感情が大きいことは、量刑が重くなる事情となります。

(6)更生可能性

更生の意欲を示していること、親族などが監督を約束していること、定職に就いており経済的に安定していること、年齢が若いことなどは、更生の可能性が高いものとして、量刑が軽くなる事情となります。
粗暴な性格、犯罪の常習性などの事情がある場合には、再犯の可能性が否定できないものとして、量刑が重くなる要素となります。

(7)前科・前歴

前科・前歴がないことは、量刑が軽くなる事情となります。
前科・前歴があることは、量刑が重くなる事情であり、特に同種の前科・前歴の有無は重視されます。
一方で、10年以上前の古い前科・前歴は、あまり重視されないことが多いです。

(8)社会的影響

社会的影響の大きい事件であることは、量刑が重くなる事情となります。

(9)社会的制裁

社会的制裁を受けたことは、量刑が軽くなる事情となります。
例えば、逮捕・勾留されたことにより、勤務先から解雇された場合などです。

3.弁護士にご相談ください

罪を認める場合には、量刑に有利な事情を適切に主張・立証していく必要があります。

量刑についてご不明のことがありましたら、刑事事件に関する多くの経験と実績を有する当事務所の弁護士にご相談いただければと存じます。