経営者が刑事事件の当事者となる場合、その地位に鑑み特有のリスクが発生します。
このページでは、経営者の刑事事件について解説いたします。

1 経営者に特有の刑事事件のリスク

(1)業務への支障

経営者の刑事事件では、業務に支障が出ることは避けがたいでしょう。

刑事事件で逮捕された場合であれば、最長3日間の逮捕ののちに、最長20日間の勾留を受ける可能性があります。
逮捕されている間は一般の方は面会できませんし、勾留されている間は一部の事案を除いて面会が可能ですが、一般の方の場合、面会できる時間帯や1回の面会の長さが制限されます。

また、逮捕・勾留されない場合であっても、取調べや刑事裁判への対応で時間を取られる可能性があります。

(2)実名報道されることによる企業への風評被害

経営者のような地位のある人物の刑事事件については、一般の刑事事件に比して、実名報道をされる可能性が高いでしょう。

経営者が刑事事件を起こした旨の報道がされると、たとえ業務と関係のない刑事事件であったとしても、企業のイメージが損なわれるリスクがあると言わざるを得ません。

(3)取締役の地位を失う

取締役である経営者が刑事事件を起こした場合、取締役としての地位を失う可能性があります。
禁固以上の刑に処せられたことや会社法関連の犯罪で刑に処せられたことは取締役の欠格事由になっており、また、そうでなくても上述したような企業への影響の大きさを踏まえると、取締役会等において、解任などの厳しい対応を取らざるを得ないこともあるためです。

2 経営者に特有のリスクを回避するための弁護活動

(1)刑事事件化されないための弁護活動

被害者がいる犯罪であれば、刑事事件化される前に被害者との間で示談を成立させることで、刑事事件化を防止できる可能性があります。
そのため、刑事事件化される前に、迅速に被害者との示談交渉を行うことが考えられます。

(2)身体拘束からの解放

経営者が逮捕・勾留された場合、これらの身体拘束からの解放が喫緊の課題であるといえるでしょう。
そのために、勾留決定がなされた時点での準抗告、勾留期間の延長が決定された時点での準抗告、起訴された時点での保釈請求などの複数の方法で、身体拘束からの解放を求めていくことが考えられます。

(3)身体拘束からの解放までの接見

経営者が身体拘束を受けている期間は、業務の引継ぎや報告等を滞りなく行うため、十分な接見を行うことが重要です。
なお、弁護人であれば、時間帯や1回あたりの長さの制限なく接見を行うことが可能です。

(4)処分を軽くするための活動

刑事事件においては、検察官が
①不起訴:裁判は行わない
②略式起訴:法廷での裁判は行わず、罰金刑を科す
③起訴:法廷での正式な裁判を行う
という3通りの処分のいずれかを選択します。

これらのうちできるだけ軽い処分を獲得するためには、被害者との間で示談を成立させるなど、当事者にとって有利な事情を整えることが重要です。

3 弁護士にご相談ください

経営者の刑事事件は、企業への影響が大きいことから、特に迅速な対応が求められます。
そのため、専門家である弁護士にお早めにご相談されることをお勧めいたします。

経営者の刑事事件でお悩みでしたら、ぜひ一度、当事務所までご相談いただければと存じます。

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